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< 連載第1回 >
丸山美子は37歳の専業主婦。
今日も普段と変わらず夫と子供を送り出し、家事をこなした。
いつもなら、一息つく時間だったが、身支度をはじめた。
今日は銀座にある探偵社を予約している。夫の行動に不信を抱いて数ヶ月、
悩みに悩んだ挙句の相談だった。
夫、博は広告代理店に勤める42歳。
結婚して約10年、2人の間には8才の女の子がいる。
博は社交的で社内の人望も厚く、同僚との付き合いなども大切にする人だったが、
家庭をとても重視する人で、だらしないことは一切なく、よき父親であり夫であった。
今考えると1年程前から、博の行動に変化が出始めた。
通常だと比較的定時で終わることのできる総務であるが、残業・出張が増え、休日出勤と
言っては日曜日に出かけるようになってきた。
美子が夫に女性の影を感じるようになってきたのは約4ヶ月ほど前である。
その日も休日出勤といって、朝いつものように出かけた。
そして平日よりは早い5時頃帰宅。夕食前にお風呂に入った。
美子は寝室にあるゴミ箱に目が止まった。夫が捨てたと思われる紙くずを拾い上げる。
それはランチのレシートだった。
会社のある地域とは全然関係のないレストランのもので、2人で食事をしたものだった。
男性2人で行くような場所でもなかったため、美子は一気に不安になった。
その日から、美子は博に対しての目が厳しくなった。
博の見える行動を書き留めた。ポケット、財布、持ち物全部にチェックを入れた。
美子はだんだんと追い込まれ、自分を失いかけていることに気づいた。
今、自分に見える夫の行動だけを書き連ねても、何かしら疑うべきものを見つけても、
夫を問い詰めるだけの強さがない。
誰に相談をすることも出来ず、落ち込みは究極を迎えている。
そんな時立ち寄った銀行の待ち時間、何気なく見ていた女性誌で「別れさせ屋」の記事が目に
止まった。まもなく、自分の名前が呼ばれたため、衝動的にページの片隅に記載されていた
電話番号を切り裂いて立ち上がった・・・。
美子は、 緊張しながら探偵社の一室で待っていた。
まもなく一人の男性が入ってくる。担当の、田所という男性だった。
田所より、夫に不信な気持ちを抱き始めた経緯を問いかけられ、しばらく沈黙が続く。
どこから話して良いのかわからず困惑している美子に、田所が
「時間はありますから、ゆっくりお話ください。」と話す。
少しして、美子は重い口を開き、話し始めた。
今まで一人で悩んでいたことが堰を切ったように出てくる。
夫とは別れたくないということ。
愛人と別れさせたいということを前提に。
それに対し、田所からのアドバイスは、
いろいろな場面に遭遇しているだけであって説得力がある。
美子が思い込んでいるだけで、まだ愛人がいるかどうか確信が持てないため、
夫の素行調査から始めた方が良いという見解だった。
相手が判明してから「別れさせ工作」を開始する。
素行調査は1週間とし、美子は複雑な気持ちで探偵社を後にした。
連載第2回へ続く・・・
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